(NHK問題)「日本人が抗議書を作り台湾人出演者に署名捺印させる」というお粗末


4月5日放映「NHKスペシャル シリーズ・JAPANデビュー 第1回「アジアの“一等国”」」をめぐる問題。
出演した台湾人(柯徳三さんほか)が「NHKに抗議している」と主張する右派「チャンネル桜」と、「抗議は受けていない」と述べるNHKの対立がある。

そのなか、ni0615さんが暴露した事実があまりに興味深いので、時系列に沿って再構成してみる。

ni0615さんの記事↓
http://ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1093079/

6月15日(月)・16日(火)
チャンネル桜」に、柯徳三さん、藍昭光さんのインタビューが公開される。
インタビューで柯徳三さん、藍昭光さんは抗議の意志を表明していない。

柯徳三さんへはそのインタビューの中で、「私はあきれかえっているが、NHKに抗議するようなことはしてないしするつもりもない」と繰り返しています。(略)
藍昭光さんはインタビューの中では、NHKとのメールのやり取りは、蒋松輝さんに任せていたので抗議をしたかどうかは知らない、と答えています。


6月17日(水
NHKが「説明」を発表。
http://www.nhk.or.jp/japan/asia/index.html

今回の番組で、台湾の方々のインタビューを恣意的に編集したことはなく、またNHKが柯徳三さんや蒋松輝さんから抗議を受けているということはありません。

取材時、柯徳三さんにはあわせて5時間程度インタビューしています。番組で使用した部分は、柯さんの発言の趣旨を十分に反映していると考えています。恣意的な編集はありません。

柯さんは、5時間のインタビューの中で、当時の日本の統治に対する率直な思いを語っていらっしゃいます。柯さんは「インフラ」について、日本がこなかったらこんな発展はない、と評価される一方で、砂糖や米、樟脳など日本は、投下した資本以上に台湾から富を持ってかえっているととらえ、それを「一種の搾取」と表現されています。後藤新平の駅や病院の建設、また農業の発展に寄与したといわれる八田與一の嘉南大圳についても、すごいけれども日本という国はこんなにすごいということを台湾人に示すためにやったのではないかという疑問も提示されています。

「教育」については、24歳まで育ててもらった恩というのがある、という表現で感謝の念を表明されています。柯さんが「恩というのがある」とおっしゃっている教育については、番組の中で次のようにコメントで伝えています。
「台湾の同化政策で、まず重視されたのが、教育でした。それまで台湾人は、日本人と別々の学校に通っていました。同化政策によって、同じ小学校に通えるようになります。さらに、日本人しか通うことのできなかった中学校への進学も許可されました。かつて、父親が日本人小学校を退学させられた、柯徳三さんです。柯さんは、同化政策によって、日本人と同じ小学校を卒業し、中学校に進学しました。」


さらに、台北第一中学校の同窓会でのインタビューも、それぞれの方の発言の趣旨を十分反映していると考えています。

台北第一中学校の同窓会の長老的存在である蒋松輝さんからは放送の翌日4月6日、メールをいただいています。「4月5日夜のスペシャル番組を拝見しました。なかなかの出来ばえで、感謝感激に堪えません。厚くお礼を申し上げます。ついでながら、ますますご元気で活躍されますよう祈っております。台北一中、台北三中、基隆中学台湾人同窓有志一同」。
(なお、上記に柯徳三さんのインタビューで放送未使用の部分、また蒋松輝さんからいただいたメールを紹介しています。このことについては、お二人のご了解を得ています。)

以上、今回の番組について、内容に偏向はないこと、事実関係や用語に間違いはないこと、またインタビューは適切に編集していることを説明いたしました。


6月18日(木)
J-CASTニュースの記事、「チャンネル桜」水島氏のインタビューが。
http://www.j-cast.com/2009/06/18043513.html

「この文書が公開されたことで、NHKの主張が全部ウソだったことが分かった。非常にタイムリーで有り難い。実は、この問題をめぐる、3回目の台湾取材から戻ってきたばかりなんです」

NHKは『抗議は受けていない』という回答を繰り返していますが、実はメチャクチャに怒っています。NHKにインタビューされたご本人から、捺印された抗議文を預かっています。『日本に来て、抗議してもいい』ともおっしゃっています。

水島氏が預かっている?ならばNHKには届いていないわけで、NHKの説明はウソではない。
さて、その抗議書についての経緯を、「チャンネル桜」自ら暴露。


チャンネル桜」太高未貴氏が、柯徳三さんに抗議文書案を差し出し、署名・捺印してもらう。(同じく藍昭光さんも)というプロセスが明かされる。

しっかり、(柯徳三さんに)署名もしていただきまして、印鑑も押していただいて います。

驚いたのは次の一節。「同じ文」って…

それから、もう一人・・・・・同じ文です。・・・・・ハイ、藍昭光さんですね。・・・・印鑑を きちっと押してくれまして、藍さんは日本に来てくれてもいいといってますね。


上記の経緯について、ni0615さんは以下のように解説する。

柯さんと藍さんは、NHKに抗議の文書を自発的に既に送っていたのではなくて、今回の第3次(6月10日以降)台湾取材の後に、チャンネル桜が用意した同一文書への署名・捺印の依頼に応じたということです。

もうほんと、「二人の台湾人の抗議文」が同じ文面で「日本人が予め抗議文を作成した」という事実自体が破廉恥きわまりないですね。

しかし、この手のデマゴーグに踊らせられながら、昨日(6月20日)のNHKへの抗議デモは1000人に達したという。