宮台真司経由小室直樹行き、その風景

数学屋さんの最近の発言の根底は、どうやらこのあたりのようです。
http://d.hatena.ne.jp/khideaki/20070403
(太字は青狐による)

宮台氏を通じて最近よく読むのは小室直樹氏の著書だ。以前だったら、天皇主義の極右の論客として敬遠していた人物だったが、その論理的な展開が分かってみると、今まで左翼の勘違いに毒されていたと思える部分にかなり気づくようになった。一つは軍隊に関する捉え方だ。今までなら、軍隊は侵略戦争と結び付けて発想したために、どのような軍隊であってもせいぜいが必要悪の範囲で捉えられるだけで、その恩恵を受けて今の豊かな生活があるという発想は出来なかった。

しかし、板倉さんも書いているように、明治維新後のある期間は、強大な軍隊を持たないアジアの国はことごとく植民地化されたという歴史がある。朝鮮は日清戦争の際に中立を宣言したが、いくら宣言をしても中立できるだけの軍事力を持たなければ中立が保てなかったというのが当時の状況だった。

日本が植民地化されなかったのは明治維新後に強大な軍隊組織を作り上げた結果であるというのは歴史的な事実として認めなければならないだろう。もちろん敗戦に至る過程で数多くの失敗があったことも事実だっただろうと思う。しかし、かつて優秀だった軍隊が日本を守ったということは否定の出来ない事実として、その後の失敗の歴史とともに忘れてはいけないことだと思う。問題は、このように優秀な軍隊が、何故に国民自身をも苦しめる悲惨な戦争に突入してしまったかということではないだろうか。

結果的に悲惨な結果をもたらした戦争をしたから、日本の軍隊はひどいところであって何から何まで間違っていたのだと考えるのは発想が逆なのではないかと感じるようになった。何から何まで間違っていた軍隊だったら、それがないほうがいいという結論にならざるを得ないだろう。

しかし、軍隊を持たずに憲法9条で国際平和を宣言しておけば平和になると考えるのは、中立宣言をしても中立を保てなかったかつての朝鮮と同じ道を歩むのではないだろうか。問題は、国家を守るだけの強大な軍隊組織が、かつての失敗を繰り返さないような組織として再生されているかということではないのだろうか。そのためには、かつての失敗の本当の原因が分からなければならない。軍隊は悪だというイメージから出発する発想ではなく、何が失敗に結びついたかという覚めた視点が必要だろう。

南京大虐殺30万人説に対する疑問や、沖縄の「集団自決」に対する言説を慎重な取扱いをしたほうがいいと感じるのも、軍隊はすべて悪いという発想を見直したほうがいいのではないかという感じがしているからだ

なるほど、「軍隊はすべて悪いという発想を見直したほうがいいのではないかという感じがしているから」「南京大虐殺30万人説に対する疑問や、沖縄の「集団自決」に対する言説を慎重な取扱いをしたほうがいいと感じ」たわけですね。

しかし、それはあまりに乱暴すぎる考えだと思いますけど。

突っ込みどころが多すぎるが、時間がないのでとりあえずエントリ。