戦争責任を「敗戦責任」に矮小化させるメソッド

首相の靖国参拝を支持する人は、日中戦争等に国民を動員した戦争指導者の責任をどう考えているのだろうか。
http://mrkt.blog11.fc2.com/blog-entry-484.htmlにコメントしてみる。*1


ブログ主KTさんの主張(エントリより)

いわゆるA級戦犯合祀など、この靖国参拝が国内問題としては、問題ともならない。戦勝国でもないシナや韓国が正当性のない東京裁判の結果に対して今さらナニをゆうか!である。例によってシナや韓国があほの一つ覚えのように速射反応しているようだが、これだけ堂々とこの日に首相が参拝したことで、もはや外交カードともならないだろう。参拝が神道形式でなかったのはある意味残念だが。次期政権以降もこの終戦記念日靖国参拝は断じて継続されるべきものだ。

ホントに、参拝に対して騒ぐ方がどうかしている。日本が国内で騒ぐからこそ、まだこのカードは有効だとシナがつけ込む先を見つけるのだ。靖国参拝であれ、いわゆるA級戦犯合祀であれ、シナが日本を、中華思想からくる勝手な理屈で外交的に屈服させたいだけの問題であって、それに乗る親中眉中派はまるでバカなのだ。アジア諸国といったところで、問題はこのシナと韓国の二国に過ぎない。両国とも国是としての反日政策で、歴史を都合良く歪曲してまで自国の政権を有利に世論誘導しているだけであって、日本国民でありながらいつまでも自虐的な歴史観一辺倒でそれに乗る親中眉中の国会議員・マスコミの国内世論誘導には乗ってはいけないのだ。その意味では、本日終戦記念日のようやくの小泉首相靖国参拝快哉ではあるが、何度も言うとおり決して国内挙げてメディアが騒ぐ問題ではない。


私のコメント。

さてご意見を読ませていただいのですが、KTさんのご意見にはA級戦犯である前に「戦争指導者」であるという問題が考慮されていないように思ったのですが。戦争指導者(A級戦犯以外にもいますが)たちには、国内的には戦争に動員した責任、国外的には侵略行為責任があると思います。

そして、戦争に動員した責任について考えれば、戦争指導者のみならず、靖国神社自体も戦争動員責任も問われるのではないかと思います。


これに対するブログ主KTさんの応答。(太字は青狐による)

戦争責任というなら、それは敗戦責任でしょう。
世界を見渡してみても、言われるような侵略行為責任や戦争動員責任が自国からわき上がるような戦勝国はありません。あるとすればひん曲がった一部の左翼思想からでしょう。

アメリカにしても、原爆で無差別に非戦闘員を虐殺した責任は東京裁判ではスルーです。旧ソ連の当時の明白な国際法違反行為も何ら糾弾されません。一方的に主権を侵されればその国と戦争に至る、というのは世界の独立国の常識です。もちろん戦争を望むものでもありませんが、そーいった状態になれば戦争は起こるべくして起こるもの。先の戦争も、侵略戦争という議論もあれば、自衛のための戦争という議論もあります。当時の当事者であったマッカーサーも後にそー言ってますね。現在とは全く違う価値観の中で、過去戦争に至ったというのは当時望まないまでも避けきれなかった側面もあるでしょう。

戦争終結時に責任を問われる状態というのは、ほぼ負けた場合においてのみです。理屈はすべて勝った方のものになる。だからこそ戦争責任というのはあまりにも現実的ではなくて、日本の場合も、あるとすれば敗戦責任というのが最も適当かと思いますね。

で、先の戦争において、日本の戦争指導者たちに東京裁判で問われた責任というのは戦勝国が自らを正当化し明白に戦争終結させたいがために生贄のごとく作り上げられたものであって、ただし敗戦責任というのは間違いなくあると思っています。そして敗戦責任というのは戦勝国から一方的に裁かれる種類のものではなく、日本が独自に総括すべき問題でしょう。


「日本が独自に総括すべき問題」から、なぜ「戦争動員責任」の問題を排除するのだろうか。
それに、イラク戦争に勝ったアメリカ合衆国でも「戦争動員責任」は問題となっているが…


どうも、戦争責任を「敗戦責任」に矮小化させるメソッドが横行しているように思うのだが…

参考;/kechackさんの「Munchener Brucke」より
http://d.hatena.ne.jp/kechack/20060822(太字は青狐)

靖国参拝の是非が中韓の圧力への嫌悪の問題にすり変わってしまっている。これは靖国支持勢力が世論の空気を最大限に利用した世論誘導の勝利であり、私は靖国参拝反対派であるが敗北を認めざるを得ない。しかし、日本が戦争責任論まで外圧嫌悪感情を利用して曖昧にしようとする工作には徹底して抗しなければならない。ある年に首相が靖国神社に参拝するしないで日本の国がどうなる話ではないが、日本自身が過去の戦争の総括を曖昧にするのは、未来の為によくないことである。

*1:このブログを選んだ理由は、音楽の趣味が近そうだから、という理由です