「岡村寧次大将資料」と「空とぼけメソッド」


以前から知られている「岡村寧次大将資料」についても、「読みたくない文字は読めない」メソッド・「空とぼけ」メソッドが行われたという事例。
昨年12月、野良猫さんとの議論にて。



発端はAPEMANさんの以下の発言。

特に予備役・後備役兵にみられた軍紀弛緩のひどさを裏付ける史料は嫌というほど
あり、どれを示せばよいか迷うほどである。とりあえず
http://www.geocities.jp/yu77799/gunjin.html
http://www.geocities.jp/yu77799/nihonjin.html
でもご覧になってはいかがか。


ちなみに上記リンクにある「畑俊六日誌」「岡村寧次大将資料」の記述は以下のとおり。

(畑)
 支那派遣軍も作戦一段落と共に軍紀風紀漸く類廃、掠奪、強姦類の誠に忌はしき行為も少からざる様なれは、此際召集予后備役者を内地に帰らしめ現役兵と交代せしめ、又上海方面にある松井大将も現役者を以て代らしめ、又軍司令官、師団長等の召集者も逐次現役者を以て交代せしむるの必要あり 。

(岡村)
上海に上陸して、一、二日の間に、このことに関して先遣の宮崎周一参謀、中支派遣軍特務部長原田少将、抗州特務機関長萩原中佐等から聴取したところを総合すれば次のとおりであった。

一、南京攻略時、数万の市民に対する掠奪強姦等の大暴行があったことは事実である。
一、第一線部隊は給養困難を名として俘虜を殺してしまう弊がある。

これに対する野良猫さんのレスは以下のようなもの。

安全区委員会は、日本軍に関する抗議を日本領事館に行っていた。その連絡が日本政府に「虐殺」という内容で届き、中支派遣軍司令部に確認を求めている。畑俊六日記もそうした経緯を書いたもの。岡村日誌も同様。

青狐の横レス。

…岡村寧次大将の認識のキモは上海で宮崎少将や原田中将らから聴取した以下の部分で、ここをばっさり無視して語ってはいけませんね。
「上海に上陸して、一、二日の間に、このことに関して先遣の宮崎周一参謀、中支派遣軍特務部長原田少将、抗州特務機関長萩原中佐等から聴取したところを総合すれば次のとおりであった。
一、南京攻略時、数万の市民に対する掠奪強姦等の大暴行があったことは事実である。
一、第一線部隊は給養困難を名として俘虜を殺してしまう弊がある 」

原田熊吉少将は「中支那方面軍」の特務部長で、ラーベ日記にも登場します(後に中支那派遣軍の特務部長)。第十一軍参謀の宮崎周一少将も事件後の現地に入っています。
つまり、岡村大将の認識は「現地日本軍の特務部長」や「現地入りした日本軍参謀」の報告を情報源とした「軍紀弛緩のひどさを裏付ける」日本軍の内部情報なのですが、野良猫さんはこれを「国際委からの抗議文書」をソースとするかのように論じているわけですね。

だいいち、「国際委からの抗議文書」にはない「俘虜を殺してしまう弊」についてはっきり言及されているのだから、情報源を「国際委からの抗議文書」に限定できるわけがないのは明らかなのですが。


野良猫さんの(上記発言の前の)発言。

当時、岡村大将や松井大将が「日本軍の軍紀が緩んでいる」と嘆いているのはこうした内容であって、民間人への虐殺や強姦ではありません。

これもまた、典型的な「読みたくない文字は読めない」メソッドの表出。



青狐の横レス。

これが、原田や宮崎への聴取に基づく「南京攻略時、数万の市民に対する掠奪強姦等の大暴行があったことは事実である」という記述に対する、野良猫さんの解釈ですか。

「でっちあげ・捏造派」の人にとっては「南京事件」とは、「中国側が創作した情報」だけを根拠として捏造されたものでなければならないのだろう。そういう人にとって「南京事件があったという日本軍側の情報・認識」は「存在してはいけない」もの、ということだろう。その結果、「読みたくない文字は読めない」メソッド」や「空とぼけ」メソッドが発動されるものと思われる。