櫻井よしこさん、南京事件に関してまたもやいい加減な発言


櫻井よしこさんは、読んでいない本を根拠に「南京大虐殺は虚構」と述べているのか、それとも読んだうえでデマを流しているのか、どっちなのだろうか。

週刊新潮掲載の「中国の陰謀、カナダの反日教育
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2006/06/post_451.html

文章全体に対しての論評は省略する。
問題の箇所。

南京大虐殺”が虚構であることは北村稔氏の「『南京事件』の探究」(文藝春秋)などでも明らかだ。


しかし、当の「『南京事件』の探究」は、表紙カバーの言葉を借りれば「虐殺の有無を性急に論ずるのではなく、大虐殺があったという「認識」がどのように出現したか」を対象にした本である。しかもこの本の核になっているのはティンパリーに対する考察なのだが、北村氏はこう結論づける。

当初、筆者は日中戦争中の英文資料には、国民党の戦時対外宣伝政策に由来する偏向が存在するはずだと考えた。しかし、ティンパリーのWHAT WAR MEANS、『英文中国年鑑』など代表的な国民党の戦時対外刊行物には、予想に反し事実のあからさまな脚色は見いだせなかった。残虐行為の暗示や個人的正義感に基づく非難は見られるが、概ねフェアーな記述であると考えてよいのではないか。少なくとも、一読して「嘘だろう」という感慨をいだかせる記述は存在しない。

南京事件』の探究」


同書を何回読んでも、「『南京事件』の探究」からは「“南京大虐殺”が虚構である」ことは「明らか」にならない。


なお、現地の日本軍内部では、大規模な殺戮、市民に対する掠奪、強姦があったという認識だった。櫻井氏はぜひ「現代歴史学南京事件」の12頁を読んでほしい。
http://d.hatena.ne.jp/bluefox014/20060701

櫻井氏の南京事件に関する発言のいい加減さについては、過去にも指摘した。
http://d.hatena.ne.jp/bluefox014/20060116
http://d.hatena.ne.jp/bluefox014/20050422


なお、「『南京事件』の探究」については、タラリさんが批判的に分析している。
http://www.nextftp.com/tarari/timperley.htm
http://www.nextftp.com/tarari/timperley2.htm