(分析)茂木氏の2月2日〜4日言説とその問題点・1

1月27日に始まった茂木弘道さんとの議論は現在も継続中ですが、ここ数日茂木さんの語調がエキセントリックになっています。一昨日(7日)の発言。

いい加減にわれわれ同胞を辱めるのをやめないと、君らに「人非人」の烙印を日本人同胞の名で押すことになることはいっておくべきだろう。
http://d.hatena.ne.jp/hmotegi/20060207

昨日(8日)は、とうとう次のような発言が飛び出しました。

又指揮官が勇ましいことを言ったのを証拠に強姦集団だというなどというのははっきり「キチガイ」である。
http://d.hatena.ne.jp/hmotegi/20060208

ここでキチガイなどと言葉を持ち出すのは、ブログ上の議論としては自滅行為、というか茂木弘道という言論人の価値を自ら毀損している行為だと思えてならないのですが‥

そういう言説を含め(苦笑)、東中野氏率いる「南京事件研究会」のメンバーとの議論は私としても初めての体験で、なかなか興味深い体験です。茂木氏個人の資質の問題も既述のように多々ありますが、それでも「東中野派」の主張とその問題点がこの議論でかなり明らかにされたのではないかと思います。

今回より、「東中野派」の一員である茂木氏の言説の分析と議論のまとめ作業を試みたいと思います。



●確認;東中野派の主張の基本構成

当ブログ2月4日付のエントリでも触れたとおり、「東中野派」の認識は、基本的には2つの柱で構成されています。

1;安全区以外(城外+安全区以外の城内)は無人地帯。人がいないのに虐殺が起こるはずがない。

2;住民のいた安全区でも、虐殺目撃はゼロである。虐殺は最大で二桁。

最近は以下の3を加えて、3本の柱になりつつあるようです。

3;南京事件中国国民党が創作したプロパガンダにすぎない。


これらの柱に、それぞれ肉付けとして各論が構成されています。
例えばこんな感じで。(青狐の整理による)

1;安全区以外(城外+安全区以外の城内)は無人地帯。人がいないのに虐殺が起こるはずがない。
1-1城外は、中国の清野作戦で焼け野原と化した。だから住民はいない。
1-2城内の住民は全て安全区に避難した。
1-3安全区以外の城内は無人地帯であった。

2;安全区には20万人の残留民が居たが、虐殺はほとんど起きなかった。
2-1「南京安全地帯の記録」には少数の虐殺事例しか掲載されていない
2-2「南京安全地帯の記録」の内容は信用性を欠き、水増しの疑いがある。
2-3 日本軍は軍規厳正で、不法行為を多発するわけがない
2-4 中国軍は安全区内で不法行為を多発させていた。


●茂木氏ブログの主張(2月2日〜4日)

茂木さんの言説も、基本的には東中野氏たちの基本認識に沿ったものです。ざっと箇条書きすると以下のようなものです。
(茂木a等の記号は青狐による)

茂木a:東京裁判・南京軍事法廷の判決文は「虐殺は城内で起こった」と主張していた。→上記1に関連
茂木b・「南京安全地帯の記録」は実際の被害数より水増し記載になっている。中国人の訴えをそのままタイプし提出していた、と福田正泰氏が述べている→上記2-2に関連
茂木c・「南京安全地帯の記録」にある5件の放火事例は、日本軍兵士の仕業とは考えられない→上記2-2、2-3に関連
茂木d・日本軍兵士の実際の姿は「「1937南京攻略線の真実」(小学館文庫)に記されている。→上記2-3に関連
(以上茂木ブログ2日付エントリ)

茂木e・城外は無人地帯だった。下関もほとんど人がいなかった。→上記1-1に関連
茂木f・記録に出ているものでは虐殺目撃ゼロ」は100%の事実である。→上記2-1に関連
茂木g・南京法廷判決は城外で虐殺が起こったと主張しているが、これは戦死であって虐殺ではない→上記2-1に関連
(以上茂木ブログ4日付エントリ)


5日以降の茂木氏の主張は、国民党プロパガンダ説が前面に出てきますが、これは後でして考察することにして、とりあえずここまでの茂木氏の言説を検証したいと思います。

(午前3時半、とりあえずここまで書いてUP。以降は夕方以降または明日エントリにて)
(午後9時、長文になったので次日付エントリにてUPします)