(メモ5)茂木氏が無視した(知らなかった?)第十六師団兵士・外賀関次氏の日記


茂木さんは勘違いしておられるようですが、拙ブログ「クッキーと紅茶と」のポリシーとして、私は認識・見解のほとんどを日本側史料(茂木さんの言うところの「われわれ同胞」の史料)を根拠にしています。一昨日の日高証言、昨日の稲葉・牛島発言しかり。

本日も、日本軍史料を一つ紹介します。秦郁彦南京事件」(中公新書)に掲載されているのでご存じの方も多いと思いますが…

南京での日本軍の行動は、東京の日本陸軍中枢部でも問題化されていました。そして阿南惟磯・陸軍人事局長は37年12月30日に上海、翌年1月2日〜5日南京に入って内部調査を行います。
第十六師団歩兵第九連隊の兵士・外賀関次氏の日記には、阿南局長の南京視察直前の12月31日に、以下のような命令が出たことが記されています。

「本日左の如く命令が会報に出た。
一、良民を殺さぬようにする事
一、良民の家屋内に無断にて立ち入る事を禁ず
一、良民達の物品又は其他の品々を領収することを禁ず」

秦郁彦南京事件中公新書、174頁)

驚かされるのは、占領開始時の「予めの注意」ではなく、占領開始から18日目にして、このような命令がわざわざ出された、ということです。それまでの17日間に、第十六師団の兵士の行状はどういうものだったのか…実に意味深な内容だと思います。

ちなみに茂木さんの2月6日エントリ「ブラック・プロパガンダその3」コメント欄でもこの外賀日記の記述を紹介し、茂木さんにも読んでもらったのですが、翌7日の茂木さんのエントリにはこの史料へのレスはありませんでした。

さて、明日から週末にかけて、茂木さんの言説に対する総括的な分析に入る予定です。