南京事件を子ども達にどう伝えるか、という難問


とあるブログで靖国問題南京事件関連を含む議論があり、私が入れたコメントに対しブログ主さんからレスをいただいた。

>青狐さん

はじめまして。コメント有難うございます。

本当の情報って何なんでしょうね。
子供達になんて説明すればいいんだろうって思います。
とりあえず、ブログ読ませていただきます。。。

この方のブログ全編を読ませていただき(仕事の内容中心のブログである)、とてもハートウォームな雰囲気を感じ、是非この問いに自分で可能な限りの言葉を応答したいと思い、以下のレスを投稿した。
もちろん、南京事件を子ども達にどう伝えるか、という難問に私が「模範」を示すことなどできない。一人の人間が難問を難問として受けとめ、現時点でできる限りの言葉を模索した結果、という感じで読んでください。そしてこの「難問」を多くの人に届けたいのです、私の一回答よりも。

>子供達になんて説明すればいいんだろうって思います。

私の雑然としたブログに読んで却って困惑させてしまったかもしれません。恐縮しております。

私は自分の子がいない者ですが、この点について悩まれる気持ち、非常に重いものと思われます。
南京事件については、3つほどポイントと思うところを述べたいと思いますので、なんらかの参考になれば幸いです。

1;日中戦争そのものが目的不明、何のために中国の領土に攻め入る必要があるのか、何のために命をかけなければならない戦争だったのか不明だったということ。
2;しかし戦争に異議を唱える道が、既に閉ざされていたこと(1937年時点では、既に軍部の政治支配が既成事実化していたし、厳しい思想統制も行われていた)
3;加えて、上海での中華民国軍との激しい戦闘に放り込まれ(上海事変)、終わってやっと日本に帰れると思ったのに、さらに300キロ奥地の南京まで進軍させられたことにより、兵士たちの心の荒廃が起こった。

目的不明の戦争に駆り出され、そういう政治に異議を唱えられず、しかも激しい戦闘にさらされ疲弊する、本当は「なんでこんな戦争しなければいけないのだ」という衝動を爆発させたいところが、そちらの道は閉ざされている。そんな中で倫理が麻痺し、盗賊・山賊のような存在と化してしまった…という仮説を考えています。

南京戦の憲兵隊・上砂少将の述懐を参考資料としてリンクします。
http://d.hatena.ne.jp/bluefox014/20050430

私は、殺した側の人生にとっても、南京事件は非常に不本意な体験だったのではないかと思います(というか、そう思いたい)。もちろん殺された側にとっても。
そういった意味で、南京事件が日本で「中国批判のツール」と化しつつある現状には悲しみをおぼえます。長文失礼しました。

上の3つの視点には、「侵略」の問題と「全体主義」の問題の双方が入っている。南京事件においてもこの両者に留意すべき、という観点は九郎さんの発言に触発されたものである。