たとえ話 ○京虐殺事件と雑誌SP●!

3月3日のエントリー「勝谷誠彦氏はなぜこんな愚かな文章を書いたのか?」に多くのアクセスをいただきました。ただ論文みたいな文章で、少し読みつらく感じた方もおられるかもしれません。今回は、勝谷氏コラムの問題を、架空の「東京虐殺事件」のたとえ話を借りて書いてみます。(ここでいう「東京虐殺事件」は架空であり、実在した東京大空襲とは異なります)

[フィクション]ライターK.M氏のコラムと雑誌SP●!編集部員のコメント。

ライターK.M氏のコラム原稿。

東京市の境界である山手線は総延長34キロ。数キロ四方の街の中にスマトラ沖地震で生じた遺体全てを入れたらどうなるか。それこそ枡に遺体を盛ったような状態であり、それが事実であれば前代未聞の光景としてその様子はもっと世上に流布したであろう。

以上、遠慮がちに言ってみた。読者諸兄の想像力を喚起するためである。

これに対する、SP●!編集部員のコメント。

・事実関係を確認しました、当時の東京市は山手線の内側だけではありませんよ。山手線は東京市の境界ではありません。
・そもそも日本側は、大規模な殺害はほとんど山手線の外側だと主張していますよ。築地、汐留、佃島、羽田‥。それらの地域で殺害した死体を、わざわざ山手線の内側に埋葬するなんてありえないでしょうに。
・それに日本側は、新宿や赤坂や青山などで捕捉した人間も、多くは湾岸の築地や芝浦に連れ出してから殺害していると主張しているのですよ。ちなみにナチスも、ゲットーのユダヤ人を都市内で殺さず、近郊の森の中まで移送してから殺害し死体を遺棄しています、占領地のリトアニアラトビアなどでは。
・さらに、日本側の埋葬記録によると、山手線の外側での埋葬数14万以上(占領軍の遺棄した死体を加算するとそれ以上)に対し、内側での埋葬数は1万ですよ。
いいですか、山手線の内側に埋葬した死体は1万体なんですと。「20万〜30万」とは全く主張していないのです、日本側は。
・私は、貴方の意図が理解できません。日本側が埋葬数「1万」と言ってる山手線の内側に「30万の死体」?それを読者に「想像してほしい」?そんなこと想像させてなんか意味があるのですか。これはあなたの無知ゆえですか、それとも意図的ですか?


・‥つまりあなたは、「ありえなーい」というイメージを強化するように読者を誘導しようとしているのですね。日本側がありえないデマを流布しているという印象をSP●!という大媒体でばらまきたかったのでは。この国の人間のほとんどは、当時の東京市の境界など知りませんから、多くの読者はK.Mさんの意図通りの反応を示すでしょう。でも、小誌としてはこの原稿では掲載できないという立場です。再考をお願いします


言うまでもなく、このたとえ話の「東京」を「南京」に、「山手線の内側」を「南京城」に、旧東京市の地名を旧南京市の地名に置き換えると、3月3日エントリーで指摘した勝谷誠彦氏の文章に当てはまる…ある点を除いて。

では、ある点とは何か。それは、上のたとえ話ではSP●!編集部員がファクトチェックの上問題点を指摘し掲載を認めなかったのだが、現実のSPA!編集部は勝谷誠彦氏の文章を「素通り」させたという点だ。