ビル・グッテンタグ監督映画「仮題;南京プロジェクト」について

11月26日の産経新聞朝刊が、1面で大きく取り上げた「南京」の映画について。
この映画の企画、実は今年6月の時点で日本でもPurple Mountain Productionsによって日本語の企画書がリリースされていた。

この企画書を読む限り、この映画は「レイプ・オブ・ナンキン」の映画化であるとは判断しがたい。

以下転載する。(同内容のものが、あの茂木弘道氏が関わっている「史実を世界に発信する会」のブログhttp://news-hassin.sejp.net/?search=%A5%D3%A5%EB
にも掲載されている)

長編ドキュメンタリー映画
南京プロジェクト(仮題)
制作会社: パープル・マウンテン・プロダクションズ(Purple Mountain Productions)

プロデューサー: テッド・リオンシス (Ted Leonsis)
ビル・グッテンタグ (Bill Guttentag)
ダン・スターマン (Dan Sturman)

監督: ビル・グッテンタグ

作品主旨: 1937年12月の日本軍による南京陥落の前後を取り上げる長編ドキュメンタリー映画。当時南京では何が起きたのか、「南京事件」と言われる出来事に関わった人々はどんな人たちだったのか。「大虐殺」とも呼ばれる状況が起きたことに、どのような社会的・文化的背景があったのか。アーカイヴ映像、写真、インタビューなどを使い、当時の様子を描きながら、これらの疑問を投げかけたい。また、その答えを探る一つの手法として、南京に在住していた西洋人、中国人、及び日本人によって残された手記などを現代の俳優が朗読する。

作品構成: 当時、日本軍の攻撃が激しさを増す中、南京市内に「安全区」を設置し、何万人もの南京市民の保護に献身した西洋人の視点が作品の核になる。

ドイツ人ビジネスマン、ジョン・ラーベ
アメリカ人外科医、ロバート・ウィルソン
アメリカ人大学教授、マイナー・ベイツ
アメリカ人教師、ミニー・ウォートリン
アメリカ人宣教師、ジョージ・フィッチ
アメリカ人宣教師、ジョン・マギー、他

彼らは南京が戦火に巻き込まれた状況下で出国する選択肢があったにも関わらず、現地に留まり「安全区」を設置し、区内に保護された中国人たちの生活を支えた。彼らを突き動かしたものは、一体何だったのか…。残された記録の断片を集め、可能な限り読み取っていく。

また一方で、攻め入る日本軍に降伏し、追いやられていった中国人兵士たちの状況はどうだったのか。南京で庶民は何を目にし、体験したのだろうか。天皇のためにと出軍した日本人兵士たちは何を体験し、感じたのだろうか。また検閲の厳しい戦時下、現地に派遣されていた記者たちは何を目にし、伝えたのか。

このように「南京事件」に関わった様々な人たち自身の日記、証言などの記録を一連の著名俳優(アメリカ人、中国人、および日本人)が劇場舞台で朗読し、当時の記憶の再現を試みる。

朗読される映像の間には、インタビュー映像、ニュース映像、記録写真などを織り込んでいく。当事者、元兵士、研究者、知識人などを取材することにより、現在ある様々な「南京事件」の見解の相違を探り、背景にある複雑な社会状況を示唆したい。そして重要なのは、西洋人、中国人、日本人の全てが、この時、人間としてどのように行動したのか、人間性の繊細さ、複雑さを描き出すことにある。

2006年夏、完成予定(長さは75分程度)
2006年冬、アメリカにて上映予定。その後、国内外での映画祭や日本での上映の可能性もある。