南京事件の「日本軍の毒ガス攻撃案」を再掲

丁集団参謀長発次官あて」、つまり第十軍参謀部が作成した作戦案は第一案と第二案に分かれている。(以下、藤原彰「南京の日本軍」より転載)第一案は、追撃の態勢のまま一挙に南京を急遽急襲奪取するというもの、第二案は急襲が成功しなかった場合のもので、つぎのように述べている。
(太字は青狐による)

南京ヲ急襲ニヨリ奪取シ得エザル場合ノ攻略案

此ノ場合ニ於イテモ正攻法ノ要領ニヨリ力攻スルコトヲ避ケ左記ノ要領ニ依リ攻略ス
急襲案ト同一要領ニヨリ先ズ南京ニ急追シテ包囲態勢ヲ完了シ主トシテ南京市街ニ対シ徹底的ニ空爆特ニ「イペリット」及焼夷弾ヲ以テスル爆撃ヲ約一週間連続的ニ実行シ南京市街ヲ廃墟タラシム
(中略)
本攻撃ニ於イテハ徹底的ニ毒瓦斯ヲ使用スルコト極メテ肝要ニシテ此際毒瓦斯使用ヲ躊躇シテ再ビ上海戦ノ如キ多大ノ犠牲ヲ払フ如キハ忍ビ得ザルトコロナリ

なお、同文書は秦郁彦南京事件」(中公新書)でも紹介されている。