「あやしい調査団、南京へ」HPの「気分は渡洋爆撃」発言

最近もどこかのmixiで「南京事件参考サイト」として紹介されたらしい「あやしい調査団、南京へ」*1の冒頭には以下のような表現がある。初めてこれを読んだときは、読んでいるこちらが思わず気恥ずかしくなった。
http://www.asahi-net.or.jp/~ku3n-kym/tyousa01/nanking1.htm

冒頭部分。

南京大虐殺を検証する、というツアーがあったので、ついて行った。
今年は、鈴木明氏の『新「南京大虐殺」のまぼろし』が出版されたり、
アイリス・チャンの『ザ・レイプ・オブ・南京』の日本語版が発売中止となったり、時期としては旬であった。

平成11年10月8日、調査団を乗せたCA-930便は、17:00成田を離陸、大村上空付近を通過後、済州島を右に見て上海に向かう。気分は渡洋爆撃である。

なにを隠そう、私は上海はおろか中国の地を踏むのは生まれて初めてだった。中国自動車道はよく走っているのだが…。

「渡洋爆撃」とは、長崎の大村飛行場発で南京に爆撃した、いわゆる「南京空爆」(1937年8月15日〜)のことと考えて間違いないだろう。
自らの南京訪問を「渡洋爆撃」と重ね合わせる感性。

当ブログ開設以来繰り返し同じようなことを述べているのだが、こういう感性の摩滅、歪み、あるいは鈍感さこそが「日本における南京事件問題」の一つの核心だと思う。「侵略」行為に対する問題意識も痛覚も欠いたままで南京事件について発言する、そのサイトが「南京事件についての参考サイト」として流布されていく、その「鈍感さの連鎖」ともいうべき現象にいたたまれない気持ちになる。

*1:ちなみに「あやしい調査団」という名前は、椎名誠の「あやしい探検隊」のもじりと思われるが、もし椎名氏が上の言説を読んだらどう思うだろうか。