櫻井よしこ氏、またもや南京事件関連で「素人だまし」

緊急エントリ。全然時間がないのですが。


「諸君!」06年2月号の特集「もし中国(胡錦濤)にああ言われたら──こう言い返せ」で、「南京大虐殺」が扱われている。

特集タイトル

永久保存版 百頁───《歴史講座》小泉首相以下全国民必読!
もし中国(胡錦濤)にああ言われたら──こう言い返せ

目次で南京事件の項を見ると、「南京事件」の著作がある秦郁彦氏ではなく、櫻井よしこ氏が担当。

11 「盧溝橋事件は日本軍の謀略で戦争が始まった」と言われたら/秦郁彦
12 「日中戦争の死傷者3500万、南京大虐殺30万を認めろ」と言われたら/櫻井よしこ

「全国民必読」ならば、なぜ専門家の秦氏ではなく、櫻井よしこ氏なのか?という疑問がわく。

読んでみる。
櫻井氏の文章は、私には「素人だまし」にしか感じられなかった。

中国のプロパガンダを批判するという企画自体が、反対側からのプロパガンダに堕していることに、櫻井氏は痛みを感じないのだろうか。




具体的な問題点は複数かつ多層的に指摘できるが、
(1)ティンパーリー編著「戦争とは何か」もスマイス報告も、「30万人虐殺説」の根拠ではない。
(2)郭岐の手記も「30万人虐殺説」の根拠ではない。
(3)「30万人説」の根拠とされるもの自体は一言も取り上げない。
(4)にもかかわらず(1)のティンパーリー、スマイス(2)の郭岐手記への批判を以て「30万人虐殺説」を崩したかのように断言する「素人だまし」。


ちなみにティンパーリー編著「戦争とは何か」に関する分析については、昨年の「週刊新潮」の文章と同じ問題点のままで全く進歩がない。

だから、ティンパーリー自身は「南京」については何も書いていないのに、ティンパーリー自身が書いたような印象操作をいつまで続けるのですか、いつまで。

参考に櫻井よしこさん、これは意図的デマですか(南京事件関連) - クッキーと紅茶と(南京事件研究ノート)より転載。

以上、まとめてみると次のとおり。

(1)虐殺等の有力な証拠とされているのは国際委文書であって、「戦争とは何か」はその一部を掲載したにすぎない。櫻井氏は、国際委文書ではなく「戦争とは何か」が有力証拠だとすりかえた。

(2)国際委文書にせよ「戦争とは何か」にせよ、「30万人説」の根拠とはされていない。櫻井氏は「戦争とは何か」が30万人説の根拠だと述べるが、これはもはや「デマ」である。

(3)そもそも「戦争とは何か」に対して、北村氏は同書の内容を「概ねフェアー」と評しているにもかかわらず、櫻井氏は著者ティンパーりーが中国国民党の宣伝部員だったと述べ、虐殺がプロパガンダにすぎないような印象操作を行い、内容については言及すらしない。

もう少し詳しい解説は22日upを目標に執筆中。2月中に書く予定です。すみません。