チャンネル桜の「南京の真実」映画製作発表の記者会見


今日、チャンネル桜の「南京の真実」映画製作発表の記者会見があったようです。
http://www.nankinnoshinjitsu.com/
東中野氏も南京事件について自説を説いたようですが…

製作発表記者会見のご案内

来たる1 月24 日(水)、下記の要項にて当映画「南京の真実(仮題)」製作発表記者会見を行います。
当日は、国会議員、学者、ジャーナリスト等、当映画製作賛同者が多数登壇いたします。

【日時】 平成19 年1 月24 日(水) 11 時〜13 時
【場所】 ホテルニューオータニ シリウスの間


宮崎正弘の国際ニュース・早読み」(2007.1.25;1690号)に、その記者会見の様子がレポートされているので、誰が何を述べたのか確認してみましょう。

都内のホテルで歴史的な記者会見が開催された。
 
 日本の保守陣営が大同団結し、誤謬だらけの戦後の歴史認識と中国がばらまくインチキ歴史解釈の訂正のために、映像というもっとも効果的な方法での反撃が開始されたのである。
 南京攻略戦の真実を伝え、中国と米国の政治謀略「南京大虐殺」の嘘を暴くドキュメンタアリー映画「南京の真実」の制作発表と記者会見が開かれた。

 この映画は情報戦でもあり、英語版、中国語版がつくられ世界同時公開を目指す。
 またインターネットの動画による配信も計画されている。公開は南京70周年の12月を目処としている。

 記者会見は超満員となった。

まずプロジューサー兼監督の水島総氏が挨拶、ひきつづき上智大学名誉教授の渡部昇一氏が「田中上奏文のインチキを当時、だれも真剣に反論しなかった。情報戦にやぶれることはかくも凄まじい結果をまねく。メディアにはメディアで、情報戦には情報戦で闘おう」。

続いて東中野修道氏のスピーチですが、

 南京学会会長でもある東中野修道教授は、
 「おととしニュー・オーリンズを襲ったハリケーンのときに、強盗、強姦、放火,暴行が蔓延していると言う噂が拡がった。調べてみるとデマであった。
 南京の報道は陥落(1937年12月13日)から三日後に米国の新聞にでたが、爾後、東京裁判まで一切語られることが無かった。突如、1946年からの東京裁判で浮上し、1972年本多勝一の『中国の旅』で、中国側の宣伝キャンペーンが開始された。そこで南京に派遣された、生き残りの将校に数知れずインタビューしたが、誰もが「このまま(嘘の不名誉がばらまかれたまま)では死ねない」と言った。
 南京陥落から蒋介石軍は、漢口から重慶まで逃げて、その間、じつに300回も外人記者団との会見を開いたが、ただの一回も南京問題がでてこなかった。
また当時の国民党中央宣伝部の用意したプレス・リリースにも一切現れていない。国民党報告には、一件の殺人事件さえ報告されていない」。

相変わらずの東中野メソッドですが、南京事件がリアルタイムで日本軍内部で問題とされ、阿南陸軍人事局長らが調査を行い、「軍紀風紀の現状は皇軍の一大汚点なり。強姦、掠奪たえず、現に厳重に取り締まりに努力しつつあるも部下の掌握不十分、身教育補充兵等に問題なおたえず」と報告したことをはじめ、日本軍史料を無視して南京事件を語り続けておられますね。ご苦労様です。

さて、国会議員も超党派で支援に駆けつけたそうです。

西村真悟氏(元・民主党

 記者会見には国会議員も多数が詰めかけ心底からの熱弁を振るった。
 まず西村真悟衆議院)議員は、「いよいよ日本側の反撃が開始される。これまで日本の議会は中国の工作に屈服してきた。虐殺は1927年の国民党の南京入城のさいに起きた。あれこそが南京の真実である」。

西村真悟議員にとって、上記の阿南陸軍人事局長の報告は「真実ではない」ということなのでしょうか。


松原仁氏(民主党

 松原仁衆議院)議員は、
「当時、外国人が居住したのは『安全区』で、しかし国民党は『安全区』のなかにさえ砲台をつくった」。

これは事実ですが、だから何?ですね。それ以外に何を述べたのかが知りたいところです。


戸井田徹氏(自民党

戸井田徹衆議院)議員。
「選挙区の講演会で挙手を求めると、じつに90%の日本人は『南京大虐殺があったか、どうか、知らない』と答えるほど、関心がない。我々の先輩は少なくともいまの日本人よりは立派だった。あんな事件を日本人が起こすわけはないのに、たとえば国会図書館関係筋ではBC級の裁判資料さえ、公開を憚ってきたのである。ようやく公開される運びとなって、行動はこれからだ」。

南京での日本兵の行状は、陸軍内部での認識は「強姦、掠奪たえず」だったようですが、それでも「我々の先輩は少なくともいまの日本人よりは立派だった」とお考えのようです。



渡部 篤氏(自民党←この項、宮崎氏の間違いで、正しくは渡辺周氏(民主党)と判明(2007.01.27)

渡部郎(→篤の間違い)(衆議院)議員。
「ティンパリーの嘘放送は蒋介石国民党の宣伝だったが、あれは米国を参戦させるための謀略文書。ところが、いまの日本人は歴史をしらず、大学入試どころか、高校で日本史が選択科目、日本人が自国の歴史を知らない。超党派で、この問題に取り組まなければならない」。

「いまの日本人は歴史を知らず」…確かにそのとおりかも知れません。南京での日本兵の行状は、陸軍内部でも「強姦、掠奪たえず」と認識するほどであったということを知らない国会議員や学者の方もおられるようですし。
ぜひ渡部渡辺氏をはじめ多くの日本人に、http://d.hatena.ne.jp/bluefox014/20060804を読んで勉強していただきたい。


赤池誠章氏(自民党

赤池誠章衆議院)議員。
中国社会科学院の学者らと議論したが、彼我の差は大きく、歴史認識が縮まることはない、と確信した。中国の歴史解釈とはときの権力者に正当性を付与するのが目的であり、政府の正当性を喧伝する武器。その道具に日本が使われているのだ」。


鷲尾英一郎氏(民主党

鷲尾英一朗(→郎の間違い)(衆議院)議員。
「若いひとに歴史の真実を残しておかなければならない。全世界を相手に、この情報戦を闘わなければならない。大変な作業となるが、ともに闘いましょう」。

そうですね。少なくとも「南京での日本兵の行状は、陸軍内部でも「強姦、掠奪たえず」と認識するほどであった」という歴史の真実は残しておかないといけないでしょう。


笠浩史氏(民主党

笠浩史衆議院)議員。
「教科書問題、歴史認識問題は、国会でさえ、過去の難しい問題は好い加減にせよという意見を聞く。このどうでもいいさというムードに危機感を抱く」。


松本洋平氏(民主党

松本洋平衆議院)議員。
「歴史の真実を明らかにすることは、国の名誉と誇りの回復であり、これからの日本人が世界に胸をはっていきていくためにも是非とも必要である。

ということは、「南京での日本兵の行状は、陸軍内部でも「強姦、掠奪たえず」と認識するほどであった」という歴史の真実を隠蔽するようでは、国の名誉と誇りの回復はなされない、これからの日本人が世界に胸をはっていきていくこともできない、ということでしょうか。


稲田朋美自民党

稲田朋美衆議院)議員。
「愛国暴走は中国人にとっては正義、偉い人を庇うのも中国人の正義。真実を追究してやまない日本人と天地のへだたりがある。先日も百人斬り訴訟で、我が国の最高裁判所が、百人斬るという嘘は、限りなく嘘に近いが、一部灰色である限りは個人の名誉云々は争えない、として不当判決をだした。
国家の名誉を守るのは裁判所ではない、政治家である」。

稲田さん、最高裁はそういうことを述べていましたっけ?


松下新平氏(自民党

松下新平参議院)議員は、
「宮崎県選出だが、歴史の真実を伝えるのは政治家の責務であると認識している」。


大江康弘氏(民主党

大江康弘参議院)議員は、
「国会の議論の虚ろなこと、多くの議員は、この歴史問題に関心が薄い。台湾のことでも、本質議論に関心がうすく、たとえば関空第二滑走路を早めに完成することが決まったのも、理由は「華僑大会」が関西で行われるからというではないか」と現状のひどさを訴えた。

▼米国でも常識と扱われている南京

さて、会場には加瀬英明藤岡信勝、佐藤和男、中村アキラ、大高美貴、井尻千男小山和伸日下公人勝岡寛次佐藤克己篠沢秀夫田中英道高森明勅西尾幹二西村幸祐水間政憲三輪和雄八木秀次山際澄夫氏ら、列挙できないほど夥しい有識者、大学教授、ジャーナリストが集合した。
それぞれが、この映画への期待と所信を連続的に表明した。
このため、記者会見は質疑応答を含め、じつに二時間にも及んだ。

映画『プライド』をつくった経験もある外交評論家の加瀬英明氏は、
「米国では南京とナチスが同列におかれて南京虐殺は常識となっている。日本の国益を守るべきである」

教科書問題の偏向と闘う藤岡信勝氏は、
アイリス・チャンの考証もされていない本が基礎となっているが、アイリスの翻訳さえ日本では左翼系出版社も、あまりに誤りが多いので出さなかった。
こんな出鱈目本を基礎に、あのアメリカが映画を作ったのだが、日本でさえ文部省検定では南京事件があったことを書かないと検定が通らないという惨状を呈している」

おいおい藤岡さん、産経に騙されていますよ(http://d.hatena.ne.jp/bluefox014/20070121

国際法に詳しい佐藤和男名誉教授は、
東京裁判は日本人に罪悪感を抱かせるための政治ショーに過ぎない。原爆投下は史上最悪の犯罪だが、南京は米国の原爆犯罪のすり替えだ」。

大東亜戦争の研究で知られる中村アキラ(青狐注;アキラは正しくは粲)教授は、
「政府が何もしないので民間が立ち上がったのである。南京に参加した多くの将校にインタビューしたビデオもたくさんある。南京は完全なフィクションである」。

「完全なフィクション」というからには、早尾大尉の報告書や岡村大将陣中感想録や日高信六郎参事官の証言の内容が全て「虚偽」だと立証できるのですかね。

歴史に詳しい勝岡寛次明星大学教授)は、
「日中共同歴史研究はなりたつまい。中国は最初から、侵略戦争という政治用語、プロパガンダ語彙を持ち出してきている。之では議論が成立しない」。

侵略戦争」って「政治用語、プロパガンダ語彙」なんですか?

▼日本人以外に日本人の不名誉は回復できない
機密文書を連続的にすっぱ抜くジャーナリストの水間政憲氏は、
「世界の反日ネット網が完成しており、こうした歴史解釈の偏向ぶりの嚆矢となったのは中国帰国者連盟だ。およそ1000人が洗脳され、命と引き替えに出鱈目な証言を72年からなしてきたからだ。82年から中国の歴史教科書に南京事件が掲載されるようになったのだ」。

中国の教科書に南京事件が掲載されるようになったのは1960年ではないでしょうか。*1>>
 評論家の西尾幹二氏。
サダム・フセインの処刑を東条英樹とならべて朝日は、日本の保守派に言いがかりをつける戦術にでてきた。 勝利者が負者を裁くという意味で、拙速だったという点で、ニュールンベルグ裁判東京裁判は似ているが、これは保守の反論を防ぐ目的もあった。
もとより人道の罪などと東京裁判ナチス裁判の側杖を食った形である」。

*1:故・ ja2047さんの以下のコメントを参照。
『初めまして、辛抱強い議論、感心して拝見してました。中国の歴史教科書に「南京大虐殺」が登場した時期、の件ですが、私が知っている限りでは、小学校用では1991年から、中学用、高校用では1960年からのようです。
自分で確認したわけではありませんが、台湾出身の留学生の方の学位論文の記述ですので、ひとまず信用してよいのではないかと思っています。http://d.hatena.ne.jp/jimusiosaka/comment?date=20060706#c
http://jun-gw.sfc.keio.ac.jp/JP/thesis/WangXueping/syuron.pdf